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机の下の秘密基地
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マルチリンガリズム

最近、ある大学生の英語を指導する中で、マルチリンガリズム、つまりコミュニケーション手段として二つ以上の言語を目的や場面に応じて使用することに関する英文をたくさん読んでいる。

興味深い話題が多く、自分の備忘録も兼ねてポイントを箇条書きしておく。

・西洋や日本では1つの国で1言語という状態が当たり前のようになっているため勘違いしがちだが、世界的に見ると多くの地域において多言語状態がごく普通に存在している。

・家である言語を話し、学校や会社では別の公用語を話す、というのが典型例。他にも両親が違う言語を話している場合など色々なケースがある。

・違う言語とまではいかなくても、ある言語において標準語と各地方ごとの方言が存在する場合、広い意味でマルチリンガリズムが存在していると言える。

・日本の敬語もマルチリンガリズムの一種として解釈すると説明がつくことが多い。

・ある人物がバイリンガルであることを知ると、1言語しか話せない人はその人に対して尊敬や憧れの感情を抱く一方、ある特定の文化にネイティブとして属していないという点で自分より劣っていると考える場合もある。

・マルチリンガリズムの状態では、複数使われている言語において「これは地位が高い言語」「これは地位が低い言語」というような認識が生まれる場合が多い。

・例えばある国では公用語となっている英語が「高い言語」となり、地元で元々話されていた言語が「低い言語」となる。また、方言においても標準語が「高い言語」となり、逆に色濃い方言が「低い言語」となる。

・「高い言語」が「高い言語」とみなされる理由は、そこに権威や文学的な歴史が伴うからである。ただし、「低い言語」は気心の知れた仲間内で使い、本心を伝え合ったり連帯感を高め合うことができるという重要性がある。

・例えばアメリカの英語とスペイン語の両方が使われている地域では、職場では英語、帰り道のお喋りはスペイン語、政治経済の話題は英語、近所の噂話はスペイン語で、というような使い分けが行われるケースがある。

・パラグアイではスペイン語とグアラニ語という言語が使われており、スペイン語が高い言語、グアラニ語が低い言語となっている。興味深い話として、田舎の若い男たちは女性にアプローチする際、まずはスペイン語を使う。これは洗練された印象・丁寧な印象を与えるためだと考えられる。一方で、実際に付き合って仲良くなったらそこからはお互いグアラニ語でコミュニケーションを取るようになる。日本でも最初は敬語で話しかけ、少しほぐれてきたらため口になるというのも同じパターンと言えるかもしれない。

・方言に関して言うと、社会的地位が上がれば上がるほど、使われる方言の数が少なくなる(標準化された言葉を使うようになる)。一方で社会的地位が低い人々はそれぞれの地方色が強い方言を使う傾向がある。イギリスの軍隊で言えば、上層部はクイーンズイングリッシュでコミュニケーションを取るのが当たり前だが、下の方の兵隊たちは自分の田舎の英語を使って話し続ける。

・世界的に見てマルチリンガリズムが何も変わったことでないのであれば、幼少期から英語を学ばせることについて「脳が混乱してしまう。まずはどちらかの言語をきちんと身に着けさせるべきだ」という主張は説得力を失うかもしれない。

これらと直接は関係ないのだが、同じくマルチリンガリズムに関して最近非常に面白いと感じた話。ある生徒がある多人数オンライン対戦ゲームにはまっているのだが、日本人とマッチングすることもあれば外国人とマッチングすることもある。その際、(どこの世界にもいるものだが)粗野なプレーヤーは平気で汚い言葉を使って対戦相手(や時には味方)をののしってくる。これをゲームの世界では「煽り」とか「煽る」と言う。そしてその生徒曰く、「日本語で煽られるとやっぱり本当に頭に来るんですよ。でも、英語で「stupid!」とか「foolish!」とか煽られても、なんか「ふ〜ん」って感じで意味は分かるんですけど受け流せるんですよね。」と言っていた。私はこれには、日本特有の事情、つまり日本人にとって英語は学校の教科書や活字で読むことが多く、実際に対人で使う機会は少ない。よって、どこか人間味がないと言うか、頭で一度解釈されるというプロセスを経るため、感情の深いところまで入ってこないのが原因なのではないだろうかと思っている。

 

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